PCCからのお知らせ 


 

『1998年4月瀧谷洞事故報告書』発行
 パイオニアケイビングクラブ(PCC)は1998年4月18日に埼玉県大滝村の豆焼沢・瀧谷洞内において、メンバーの1人が竪穴で転落して負傷したため、洞口から埼玉県防災航空隊のヘリコプターで救助されるという事故を起こしてしまいました。関係者の皆様に、ご心配及びご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げると共に、救助に協力していただいた方々に深くお礼を申し上げます。
 パイオニアケイビングクラブでは1989年に瀧谷洞を発見して以来、延べ10年間に渡って瀧谷洞を調査して参りました。その結果、瀧谷洞は竪横複合の複雑で、かつ複数の滝を有する国内でも有数の難易度の高い洞窟であることが判明しました。そのため、一旦事故を起こすとかなりの大事故になることが予想されたため、事故には十分注意してきました。しかし、長年の調査による慣れから来た慢心により、注意を怠ってしまう様になっていたことは否定できません。今回の事故も、基本的なことをきちんと抑えておけば発生することもなかったと思われます。
 今回の事故では、不幸中の幸いにも、ヘリコプターにより負傷者が迅速に救出され、早期に病院で手当てを受けることができました。また、負傷者の傷のも思いのほか軽く、現在は日常生活に支障がない程度まで回復しています。ただし、これらの幸運はすべて偶然の結果であり、数多くの僥倖が重なっただけのことでした。一歩間違えれば、取り返しのつかない事故になる可能性も充分にありました。
この度、PCCでは、このような事故を2度と繰り返さないようにするために、また、多大な迷惑をおかけした関係諸機関に事故の経緯を報告するために、事故報告書を作成いたしました。
 今後、PCCが活動を続けていくにあたり、今回の事故は非常に大きな問題を提起いたしました。事故に至った原因、問題点はなんだったのか? 2度とこのような事故を繰り返さないようにするには、どうしたらよいのか? 安全なケイビングと未踏へのチャレンジをどのように両立すべきなのか? 等々です。
 現在のPCCは、アクティブに活動していくには非常に少人数であります。そういう現状のなかで、いかに通常の活動を維持しつつ、事故対策を講じていくことができるのか? 今回、事故を起こすまで、そういう問題に取り組まなければならないと認識しつつも、実際にはほとんどなんの対策も講じられてきませんでした。はからずも今回の事故が、そのような無為無策な現状に警鐘を発したわけです。
 今後もPCCが活動を続けていくためには、今回の事故を契機に、今までおざなりになっていた事故対策を実効あるもとしなければなりません。そのためにも事故を起こした今回の活動や現在のPCCの在り方を充分に検証、自省し、問題点を洗いだす必要があります。
 そのような理由で、この度、事故報告書をまとめるにあたり、単なる事故経過報告書とせず、今後のPCCの活動に今回の事故の教訓が充分に活かせる内容となるよう、努力を傾注いたしました。しかし、数多くの問題点を提起しながらも個々の事例すべてに対策を立てることができず、若干の課題を今後に残したことは否めません。
 とりあえず、事故報告書を発行することができましたが、この報告書はPCCにとっては、あくまでも未完成品です。今後、残された課題の解決をはかり、PCCにおける事故対策を向上、充実させていくことができたときこそ、本当の意味での事故報告書の完成です。それを目指して、より一層の努力を続けていくことで2度と同じ過ちを繰り返さないようにすることが、今回、事故を引き起こしてしまった我々の責務だと思います。
 また、事故報告書が今後のPCCの活動のみならず、他のケイビング団体が安全なケイビングを行なううえで、少しでも役立てれば幸いです。そこでPCCでは、この報告書(A4サイズ40ページ)を1部1000円にて一般に頒布いたします。希望者はメールにてご連絡ください。なお、部数に限りがありますので定数に達ししだい、頒布を終了せていただきますので、ご了承ください(近いうちにPDFファイル化して、このページよりダウンロードできるようにいたします)。
 最後になりましたが、今回、負傷者の救助に携わってくださいました関係諸機関の方々に心より感謝いたします。
 とくに危険な山道を救助装備をかかえ、瀧谷洞の洞口まで足を運んでいただいた秩父消防署レスキュー隊と秩父警察署山岳救助隊のみなさま、険しいV字渓谷内の岩壁にある瀧谷洞の洞口より直接負傷者を救出し、秩父市内まで迅速に搬送していただいた埼玉県防災航空隊のみなさま、大変、お世話になりました。本当にありがとうございました。
 また、その他の多くの方々にも多大なご迷惑とご心配をおかけいたしました。謹んでお詫び申し上げます。

 

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