パイオニアケイビングクラブ(PCC)の活動 


 

稲村岩洞窟探索

 2004年11月13日(土)、晴れ。東京都西多摩郡奥多摩町日原にある稲村岩で洞穴探索を行う。
 今回は問題の洞窟のある壁の下方がどうなっているかを調査するのが目的なので、その壁の真正面にある無名の山(739高地)に登った。
 739高地は東基部沢の東側にあるので、どうしても沢を渡らなければならない。水量も多いので渡渉することを覚悟していたが、幸い、日原川沿いの作業道に腐った橋が残っていた。
 橋を渡ったところから右手の尾根に取り付いた。結構石灰岩が突き出していたが、林になっているだけあって傾斜もそうキツクなく順調に登れた。
 最初は忠実に尾根を登ったが、東側は植林してあるので、なんとなく昔の作業道らしきものがある。途中からできるだけ植林帯に入って登った。
 樹木が多くなかなか目的の岩壁が見えない。とうとう739高地と思われるコブに着いたが展望は開けない。でも稲村岩側の斜面(西側)の広葉樹は落ち葉が進み、なんとか全体を見渡せるところがあった。ここで観測することにした。
 739高地の頂上は石灰岩が露出し小さなドリーネに落ち葉が積っていた。まず頂上直下の石灰岩が露出した斜面を一回りして穴を探した。穴は発見できなかった。その下の急斜面にも石灰岩が露出しているので、あの斜面を探せばあるかもしれないという雰囲気だった。
 問題の洞窟のある斜面は、真正面から見ているせいか、ずいぶん急峻に見えた。洞窟のある壁は、直上尾根から北東側に張り出した岩稜にある壁だった。
 直上尾根から垂壁に近い壁を30mぐらいザイルで下らなければならない。双眼鏡で覗くとその途中には潅木が結構生えており、下りも登りも邪魔になりそうな感じ。
 順次、洞窟の下の方に双眼鏡を移して行くと、真っ白な壁の中に大きな洞口が確認できた。しかもその洞口の下の壁は濡れている。
 ここは25000でいうと稲村岩の下部に横に連なる大岩壁の左の端に位置するようだ。問題の洞窟から下にエスケープすると、この大岩壁に出てしまうので下にエスケープするのは不可能。
 どうしても問題の洞窟から下にエスケープしたい場合には、大岩壁上の潅木が生えた斜面をトラバースして直上尾根にもどるしかない。これは結構距離もあり傾斜も強いのでお薦めできない。やはり直上尾根に登り返すのがベター。
 目指すべき洞窟が2つになってしまった。そこで、直上尾根直下にある穴を「上部洞窟」と、下の大岩壁にある穴を「下部洞窟」と呼ぶことにする。
 穴の位置を定めるべくクリノメータを取り出して、(1)上部洞窟、(2)下部洞窟を測量した。

(1)上部洞窟 仰角9.5度、方位N60W、距離230m

(2)下部洞窟 俯角15度、方位は同様、距離180m

 洞窟までの距離は25000から作った10000の図上で測った。
 これをもとに標高差を計算したら、(1)上部洞窟は+39m、(2)下部洞窟は-48m。これに現在地の標高(739m)を加えると、(1)上部洞窟の標高は778m、(2)下部洞窟の標高は691mとなった。
 念のため、第1次測量で測った結果と付き合わせてみた。上部洞窟はねねんぼうから+163m、ねねんぼうの標高は650mなので、上部洞窟の標高は813mとなる。
 いくら粗い測量とは言え違いすぎる。どちらの測量が間違っているかを確認するため稲村岩の高さを計算してみた。ねねんぼうでの測量結果を使うと352+650=1002mとなり、25000に載っている稲村岩の高さ920mとは大違い。ねねんぼうでの測量結果が間違っていることが分かった。
 一旦739高地を降りて、ねねんぼうまで戻り改めて測量。仰角や方位に間違いはなかったので、距離に問題があることが分かった。周辺の建物記号の形から「この辺だ」という位置を割り出して距離を測りなおした。稲村岩頂上までが710m、直上尾根までが620m、穴までが600mとなった。
 第1次測量でねねんぼうの位置として取った場所は小学校の体育館の建物記号だった。これで計算すると標高は、稲村岩922m、直上尾根805m、上部洞窟772mとなり、概ね一致する。
 次に洞窟の位置を定めようと、測量した方位をもとに10000図上で作図したら、ねねんぼうからの方位線と739高地からの方位線の交点が稲村岩の北端ぐらいになってしまい実感と合わない。
 しばらく原因を考えていたら「そうだ、磁北と真北はずれているのだ」と気が付き、25000でそのずれを確認したら6度50分となっていた。約7度を足して方位を修正し、もう一度作図したら実感と合う位置にプロットされた。めでたし、めでたし。
 次に下部洞窟のある大岩壁へのアプローチルートを探そうと再び東基部沢に入った。滝の落ち口で渡渉するのを避けるため鷹ノ巣登山道から迂回ルートを探した。下に木道が見えるところはまだ滝下なので迂回ルートにならない。
 そのうちかなり登ってしまったので、適当な降口が見つからないまま、無理やり沢に下った。下りたところは丁度滝上の合流点だったが、徒渉を避けるためだけの巻き道としてはエネルギーの無駄遣いだ。
 右上の斜面を観察しながら、あの大岩壁に至るルートを探した。沢沿いに押し出している大岩に視界をさえぎられ、なかなかこれぞと思われる斜面が見あらない。とうとう裏側沢との出合まで来てしまった。
 また来たルートを引き返して、最初に現れたかなり上まで続いている斜面を登ってみたがズルズルと滑り落ちてうまく登れない。時刻も15:30になっていたので今日はこれで帰ることにした。

(小堀 記)  

 

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