パイオニアケイビングクラブ(PCC)の活動 


 

坪沢穴〜氷渡洞探険ケイビング/安家洞窟探索

●活動日程
 2000年11月2日(木)〜5日(日)。 

●目的地
 岩手県下閉伊郡岩泉町安家にある坪沢穴/氷渡洞及び、その周辺地域。 

●参加者
 内山 智範 SL
 大喜多 宏水
 小堀 雄三
 小山 啓介 CL
 星野 誠三 

●調査目的
 氷渡洞の未発見の上層部、および流入口の探索。 

●調査個所
 2000年11月3日(金) 坪沢穴・氷渡洞左洞探査。
 2000年11月4日(土) 氷渡洞右洞・氷渡洞左洞探査。
 2000年11月5日(日) 長内沢の洞窟探索。 

●調査状況
 2000年11月3日(金)。
 9:00頃にベースキャンプ(バンガロー)を出発し、氷渡探険洞の洞口を見に行った。洞口には雪除けのための巨大なコンクリート製の覆いが設けられていた(鍵は事務所で管理)。
 次に道路から沢添いの細い作業道(?)に入り、坪沢穴を目指した。10分ほど歩くと、作業道の左手約10mのあたりに洞口があった。洞口には危険の看板と転落防止の金網が設置されていた。
 既設のボルトアンカーが見あたらなかったので、斜面上側の立木をアンカーとした。第1ピッチは−38mなので、念のため10mのロープと50mのロープをつないで使用し、内山、小山、大喜多、星野の順で降下した。
 降りたあと、洞口が遙か上にぽっかり空いているのが印象的だった。坪沢穴には巨大な石筍やフローストーンなどの二次生成物があった。
 第2ピッチ(旧氷渡洞連絡口)の上部には既設のリングボルトがあったので、これを使用した。小山、内山、大喜多、星野の順で降下した。落口は狭い横穴になっており、その先が釣鐘状のホールの天井付近に抜けていた。天井付近には真っ白なつらら石などの二次生成物があった。
 坪沢穴−氷渡洞連絡口付近で小堀と合流し、左洞(竜の背本洞)に入った。「大ガレ場」「幻の竜」「氷渡の氷壁」「氷渡峠」「自由の塔」と進み、内山と小山はデリギングのためここで引き返した。
 大喜多、小堀、星野はさらに最奥部を目指した。「きらめく星座」「石灰華殿」を通り、「賽の河原」までて進んだが、その先はプールとなっており、奥から大きな水音がしていた(鳴龍の滝と思われる)。左洞の二次生成物も規模が大きく、また安家洞などと違って白くて非常に綺麗だった。大喜多、小堀、星野もここで引き返し、「大分岐点」「砂野路」「立命風洞」を経て氷渡探険洞の洞口から15:00頃に出洞した。
 一方、坪沢穴の竪穴装備を回収する為に氷渡洞左洞の探検途中で引き返した小山・内山の2名は坪沢穴連結部から第二ピッチを登り返しロープを回収。その後、坪沢新洞の反対側の坪沢穴の本洞部分を探検した。
 本洞部は多少のアップダウンはあるが巨大なホール状で容易に進む事ができる。洞床は崩落石が堆積しており、それがアップダウンの原因となっていた。崩落石の下、つまり坪沢穴洞床の下層には氷渡洞が通っている。探せば新支洞も見つかるかもしれない。下層に降りる事ができて左洞とは違う新しい節理が発見できれば面白いと思う。が、既にある程度の調査はされているはずなので新しい発見は難しいであろう。
 鍾乳石の発達は氷渡と比較しても豊かで白かった。ホール奥には比較的大きい石筍や石柱、ツララ石が乱立していた。その奥は二手に分岐する支洞が50mほど続き終わる。先は二次生成物で阻まれる狭洞となっていた。管理人室と約束した16:00まで時間が無くゆっくりと調べる事は出来なかったので、最奥まで行ったところからは一気に引き返した。坪沢穴洞口下の第一ピッチまで戻り登高して出洞。装備を回収して下山した。16:00に管理人事務所前に到着した。
 洞内の様子は全て測図通りで新しい発見はなかったが洞内の様子を把握できたので次回以降へのステップとする事ができると思う。
 この日の夜は、バンガローで、小堀さんの特製野菜炒めと、一口カレー、ご飯+アルファで夕食後、さすがに眠くて早めに就寝した。バンガローが使えたおかげで、用意された毛布と持参したシュラフで快適に眠れた。

 2000年11月4日(土)。
 4日の起床は6:00との話もあったが、洞窟の入り口は9:00に管理人さんが開けてくれることになっていたので、8:00頃まで寝てしまった。
 朝、現地のおばさんが、おにぎり5人前と焼いた岩魚をバンガローまで届けに来てくれた。これは、前夜に買い物にいったJAストアで翌日の昼食を探していたところ、店のひとが声をかけてくれたもので、安家の人の親切に感激する。各自カップめんなど簡単な朝食とそのおいしい焼岩魚を食べた後、9:00前には氷渡洞に入洞した。 管理人室の前には、今日も探検入洞者が集まっていた。
 今日は氷渡洞の右洞部分探険が主で、小堀さんを先頭に、ほぼ立って歩ける主洞を進む。100m弱進んだ所で突き当たるが、左上の隙間をあがると大きなホール:長慶の間に出る。これを横切って向かい側の小さい隙間「立命風洞」を降りると、広く立って歩けるメインルートがさらに続いており、これを100m程で、左洞と右洞「不帰の道」 の分岐に出る。
 右洞は不帰の道の名のとおり、迷路状であり危険なため、一般向けには立ち入禁止で、札をチェーンで下げてクローズしている。
 われわれは、調査ケイビングとして申請しているので、チェーンをまたぎ右洞の探検を開始した。一応測図も全員もっていたが、全員が離れないように気を付ける。
 洞窟内は、増水期には水没するため、泥/砂穴の様子で、奥多摩の洞窟のような雰囲気がある。とりあえず大きく左回りで最奥部を目指す。途中サボテン型(上部が太い)の石旬やフローストンも見られるが、左洞や坪沢穴より小規模であった。
 もぐら支洞をつめたのち、砂山十字路経由で寸狩支洞へ入ると、ドウドウと水音が聞こえる。そのまま奥をつめるといつのまにか音は聞こえなくなり行き止まりの崩落がある小ホールとなる。
 今回の調査目的の一つの新洞部発見を目指して、そこを調べると、上部は行き止まりのシャフトだが、崩落の下部に空間が見える。そこで30分程ディギングをして、下部のボアパッセージと思われる部分に頭から突っ込めるようにして覗き込んだが、1m程しか空間は続いておらず、崩落した大石の下部と判断した。
 がっかりして戻る途中、行きは見落としたが、先ほどの水音が大きく聞こえる部分に狭い支洞があるのを発見し、測図で確かめると石桜新洞となっていた。
 ここは、10m程の挟い横穴で一見行き止まりだが奥の右手前に体をねじ込むと通れる隙間があり、そこから水音と風が入ってくる。小堀の他の4名は1人づつ交代でアタックし、各自待っている間に朝頂いたおにぎりで昼食とする。
 自分の番で入ってみると、先は狭い竪穴の連続で、落差15mほどだが、チムニーで難なく降りられる。一番下は2m×1m程の水流の真上の窓になっていて、ドウドウと水が湧き、吸い込まれていく様が壮観だった。
 何でもなく見える所だが、最後の一人が音と息遣いは聞こえるが中々でてこない。結局15分くらい待っても出てこないので、別の一人が見に行ったところ、竪穴の中で道に迷ったとのこと。言われてみれば紛らわしいルートがあり、そこは最後は狭くて、声は通るが体は通らない。やはり不帰の道と言われるように、あなどれない所だと思った。そんなハプニングもあり、少し時間をとったが、寸狩支洞をもどり、最初のメインルートにもどって分岐点まで出てきた。
 ここで大喜多は先に出洞し、他の4名は左洞を坪沢穴との連絡部の崩落ホールまでいく。そこの上部テラスを調べようとしたが、フリーでは途中までしか登れず、恐らく行き止まりと見て断念した。
 小山、内山は昨日左洞をつめていないので小堀の案内でさらに左洞を探検した。星野は引き返し、途中で午後組みの探検入洞者達とすれ違い、15:00出洞し洞口で待っていた大喜多と合流し先に引き上げた。
 16:00近くになって残り3名も出洞し、管理人さんにお礼をいってバンガローに引き上げた。

 2000年11月5日(日)。
 6:00起床。食事・バンガローの後片付けをして、7:30出発。長内沢の洞窟探索に向かう。長内沢は安家と氷渡洞のちょうど中間付近で安家川に左岸から合流する小さな沢だ。入り口に長内沢工事用林道の看板が建っている。
 沢の両岸は石灰岩の急峻な山肌で、いかにも穴がありそうという感じ。沢の入り口左岸に小さな石門状の穴があいていた。ダンプカーでも通れそうな道だが急カーブが多い。
 入り口付近は伏流だったが、道路の左側にプレファブ小屋が建っている所までくると、水が流れていたので車から降りて、1回目の洞窟探索。水流にそって歩いてみたが吸い込み穴らしきものも見えず、川原の石の中に伏流となって消えていた。
 更に上流へ進み、小さなドリーネのある広場状の所で車を止め、左岸の枝沢をつめて見たが穴は見当たらなかった。
 そこで行き会った地元の人から氷渡の吸い込み口の位置を聞き、少し元に引き返したところで沢筋に入った。そこから少々遡上したところで沢の水が右岸の石灰岩の隙間に吸い込まれて行く場所を発見した。
 水面に浮かんだ落ち葉をどけ、石を一つ一つどけてゆくと、水が真下に落ち込んで行く穴があった。かなり、せっせとディギングしたが、吸い込み穴の中央に直径50cmほどの大石が嵌りこんでいて、人間が入れるほどの穴はあけられなかった。時間も10:30になったので、作業を打ち切って帰途についた。
 そのあと氷渡洞に戻って宿泊料金(¥1,890/日×2)を支払い、帰京の途についた(所要時間は行き8時間半、帰り10時間半程度)。 

●調査結果
1.未知の氷渡洞上層部がある可能性が高いと思われていた坪沢穴新洞へのルート途中にトラバースに危険な個所があり、今回は探検を中断した。
2.氷渡洞左洞から新たな上層部連絡口を探査したが特に成果はあげられなかった。
3.モグラ支洞奥部および左洞最奥部は風の流れがあった為、ディギング次第では伸びる可能性もある。
4.寸狩支洞奥部でディギング作業を行ない、2メートルほど先を確認したが、伸びる可能性は少ない。
5.長内沢では氷渡洞の流入口を確認のみで洞窟探索の成果は特にあげられなかった。 

●考察
 氷渡洞と山上の竪穴・坪沢穴の関係は、坪沢穴の構造から推定して、同じケイブシステムの下層と上層である。現在、知られている氷渡洞の上層である坪沢穴は、氷渡洞全体から見れば、ほんの一部分に過ぎない。獣骨などの発見によって、氷渡洞〜坪沢穴連結部より奥部で氷渡洞に未知の上層部がある可能性は以前から指摘されている。
 氷渡洞左洞から天井を観察して見ると、上層部が存在しそうな個所が多数みられた。しかし天井が非常に高く、氷渡洞左洞から上層部を見つけることは困難と思われる。やはり上層部の坪沢穴新洞の奥部を調査する事が未知の上層発見の最善と方法と思われる。今回は坪沢穴新洞へのトラバースに多少危険を感じたため、調査を中断した。安全にトラバースできるような装備を持って調査を行なうべきと考える。
 氷渡洞右洞に関しては風の流れがあり、ディギング次第では伸びる可能性もあるが、多々確認できたが既に山の地表近くまで洞窟がきている為、大きく延びる可能性は低いと思われる。
 また長内沢の洞窟探索に関しては、巨大な溶食された石灰岩帯がいくつもあり、ディギング次第では未知の氷渡洞流入口が発見できる可能性もある。
 安家地区は、洞窟探索をするには有望な地域であり、今後も引き続き探索を続けたいと思う。

(内山・大喜多・小堀・小山・星野 記)  

 

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