パイオニアケイビングクラブ(PCC)の活動 


 

大蛇倉沢洞窟探索

 1999年6月19日(土)、曇り時々雨。群馬県多野郡上野村の神流川本谷支流大蛇倉(だいじゃくら)沢で第1次洞窟探索を行う。参加者は芦田、星野の2名。
 先月、ロッククライミングのフィールドを上野村で探索していた安形から、神流川本谷と大蛇倉沢合流地点から大蛇倉沢に入ってすぐのところにある石灰岩壁と大蛇倉沢出合いから250mくらい本谷を上流に行った所から向かって左上に見える石灰岩壁を左に回りこんだところで、それぞれ洞口を確認したとの報告があった。
 安形の報告によると、大蛇倉沢入り口の両側に石灰岩壁があり、そこに複数の洞口を確認したとこのこと。さらにクライマー仲間から聞いた話では大蛇倉沢左岸側は500m上流まで石灰岩壁があるとのこと。また、本谷の方で確認した洞口は幅5m、高さ3mあり、若干の水流もあったとのこと。そのうえ、地質図でもこの付近は石灰岩地帯とのことだった。
 というわけで、今回、安形が確認した洞口の洞窟探査と他の洞窟の探索を行うことを目的に大蛇倉沢第1次洞窟探索を決行した。場所は日航ジャンボ機が墜落した「御巣鷹の尾根」に向かう林道の途中にある。なお、林道は神流川のダム工事のため、谷沿いから山の上に付け替えられ、長いトンネルと立派な橋の連続の2車線道路なっていて、国道299号線から、あっという間に目的地の大蛇倉沢出合いに到達することができる。
 当日は所沢を6:00に出発し、9:00前には大蛇倉沢出合いに到着した。付近には車が4台ほど停められるスペースがある。すぐに着替え、まずは神流川本谷沿いの右岸上方にある石灰岩壁に向かった。沢の河床には若干の石灰石の転石はあるものの、それほど多くはなかった。適当なところで右岸側の山腹を登り始めた。
 登り始めて5分弱で石灰岩壁にたどり着く。左の方に回り込むと安形の確認した洞口があるはずなので、まずは右の方(本谷上流方向)へ岩壁下を移動する。途中、上方に穴っぽい場所があり、登ってみたところ、ただの窪みであった。さらに上流方向に移動すると涸れ沢に出る。その先は石灰岩壁が上下2段となって続いていた。探索する場所が広範囲になりそうだったので、今回は断念し、もと来た方に戻り始めた。
 最初に石灰岩壁に取りついた位置より左側(本谷下流方向)に回り込んでいくが、岩壁が消失し、安形の報告した洞口が見当たらない。おかしいと思いながら、下流方向を見ると、少し離れて、もう1つ石灰岩壁が見えた。どうやら最初に林道から見える右側(上流側)の石灰岩壁に取りついてしまったらしい。さっそく下流側の石灰岩壁に向かう。下流側の石灰岩壁は上流側よりも白くて滑らかだった。左側に回り込みながら斜面を上がっていくと、安形の報告した幅5m、高さ3mの洞口があった。
 洞口はホール状で奥行きは8mほど。ホールの右側に四つん這いで入れる洞がある。そこを入っていくと、葡匐ルートとなり、途中には獣骨があった。20mほど行くと洞壁がフローストーンで被われだし、小さい池に出る。1m半ほどの涙の滴のような滝の水流が池に落ちていて、その先は狭洞過ぎて入洞することはできない。狭洞の奥にはミニ石柱などの二次生成物が確認できた。結局、全長約30mほどの洞窟で、『長戸沢右岸の穴』と命名した。
 その後、石灰岩壁沿いに本谷下流方向に移動した。岩壁から水が出ている場所があったが、人間が入洞できるような洞口はなかった。しばらく行くと、石灰岩壁が途切れたので、一旦、大蛇倉沢出合いまで戻ることにした。
 大蛇倉沢には右岸側に林道があるが、出合い付近の左岸側に小規模な石灰岩壁があったため、沢を対岸に渡った。その岩壁では何も発見できなかったが、山の斜面をそのまま平行に上流方向に移動していくと、小さい露岩に幅1m、高さ1mほどの丸い洞口があった。こんな所に洞口が! と訝しがりながら、中をのぞくと、奥がちゃんと続いている。
 さっそく入洞してみると、洞内は左曲がり状の小ホールとなっていて、天井にはコウモリが5〜6匹ぶら下がっていた。行き先は四つん這いで右奥に続いており、その洞は約15メートルほど行くと土砂で入洞不能になっている。ディギングすれば、続く可能性が充分にある。
 最初の小ホールまで戻ると、下に向かう狭いルートを発見した。どうせすぐ行き止まりと思いつつ、降りていってみると、狭洞を抜けたとたん、再び、人が立つことができる小ホールに出た。このホールの天井にもコウモリが何匹もぶら下がっていた。行き先の葡匐ルートを抜けると、洞は左右に続いていたが、どちらも土砂で埋没していた。こちらもディギングで延びそうな感じがする。
 再び、最初のホールに戻ると、天井に煙突状の縦穴があるのを見つけた。登ってみると、行き先は途中で横穴となり、入洞不能になる。そして、ここにも多数のコウモリがいた。二次生成物はほとんどないが、全長約40mほどの洞窟で、ディギングしだいではまだまだ長くなる可能性がある。とりあえず、『大蛇倉沢のコウモリ穴』と命名した。
 大蛇倉沢のコウモリ穴から急斜面を20mほど降りると、大蛇倉沢の一番最初の堰堤がある。その堰堤の上流側左岸の石灰岩壁に小さいながらも顕著な洞口があった。洞口は下に向かう狭洞だが、1m半ほど降りると、すぐに人が立てる小ホールとなる。行き先は急な斜洞で、チムニーで登っていくと、10mほどで行き止まりとなる。結局、二次生成物はフローストーンだけの15mほどの洞窟だった。『大蛇倉沢左岸の穴第一洞』と命名した。
 右岸の林道沿いの石灰岩壁に大きな洞口が確認できるので、見に行ってみるが、大きな窪みであった。再び、沢に戻り、左岸沿いに石灰岩壁を確認しながら上流に向かう。途中、石灰岩の母岩が見当たらなくなるが、転石があるので、そのまま進むと、約500m上流で、再び左岸に石灰岩壁が現れる。溶食形態が見られるので、付近をよく調べてみると、狭洞の洞口があり、5mほどの全長があった。ディギングしだいではまだ延びるかもしれない。『大蛇倉沢左岸の穴第二洞』と命名した。
 さらに上流に向かうと、左岸側の岩壁の上に大きな洞口らしきものが視認できる。岩壁は石灰岩ではなかったで、洞窟でない可能性が高かったが、念のため、よじ登って確認してみる。やはり大きな窪みであった。再び上流に向かうが、石灰岩は転石のみで母岩が見当たらなくなる。右岸側に緩やかな尾根があったので、一旦、林道に上がることにする。
 林道に出ると目の前の切り通しが石灰岩だった。そして、上流方面に歩いていくと、次々に石灰岩の切り通しが出てくる。1ヶ所、切り通し工事の際に開いたと思われる洞口を塞いである場所があった。すき間からのぞいてみると、1mほど下に水面が見えた。行き先が水没しているのか水たまりなのかは判断がつかない。
 さらに切り通しの端から石灰岩壁が枝沢沿いや山の斜面に延びていっている。沢すじには石灰岩の母岩がなかったが、ちょっと上の方では大きな石灰岩壁がいくつもある。河床面が石灰岩の枝沢に入ってみると、はるか上の方にも石灰岩壁が視認できる。しかし、そこまでの薮がひどい。なんとなく大蛇倉沢の南側の山は全山が石灰岩ではないかとの雰囲気がある。
 とりあえず、今回は石灰岩峰のある場所を確認するだけで、下山することにした。林道沿いに山を下っていく途中で野生のサルが現れた。次から次に現れ、追いかけてくるようで、ちょっと怖い! 林道の途中に「サルにエサを与えないでください」という看板を見つける。どうやら、エサをほしがって、追いかけてきたようだ。
 途中、沢の入り口近くの石灰岩壁を再度調査する。大きな洞口もどきの窪みは林道により埋まってしまった洞口の天井付近のようにも見える。また、壁の上方にも洞口のようなものが見えるが、装備なしではたどり着けない。
 車に戻り、着替えをすますと、御巣鷹の尾根方面に向かう林道を車で登った。大蛇倉沢南側の山が全山石灰岩かどうか確認するため、山の南側に回り込むためである。しかし、山の南側にはまったく石灰岩壁が見当たらなかった。また、石灰岩の転石も落ちていなかった。どうやら石灰岩体は大蛇倉沢のある北側だけのようである。御巣鷹の尾根への登山口まで行き、黙祷の後、山を降りた。
 帰りに、例によって、上野村の「いきいきセンター」に寄る。安形の報告によると、日曜日にはやっていなかったとのこと。係の人に確認すると、やはり日曜日は休みとのことだった。100円の入湯料だからやむ得ないかもしれない。次回以降の上野村での活動も土曜日でないといけないなと思いつつ、温泉(鉱泉)で汗と泥を落とし、すっきりした気分で帰途についた。

(芦田 記)  

 

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