パイオニアケイビングクラブ(PCC)の活動 


 

富士風穴練習/体験ケイビング

1999年4月4日(日)、PCCでは一般募集による体験ケイビングを山梨県西八代郡上九一色村にある富士風穴で実施した。体験ケイビングは、ケイビングの楽しさを体験してもらい、ケイビング人口を増やすとともに、ケイビングマナーを習得してもらうことを目的としている。
 PCCからは小堀、佐藤、八木の3名が参加し、一般からは秋本さん、生亀さん、池野さん、坂田さん、田中さん、松森さん、武蔵さんの7名が参加した。
 それぞれ最寄の場所から車3台に分乗して、10時までに富士北麓の鳴沢に集合。高曇りながら圧倒的な迫力の富士山が出迎えてくれた。道の駅なるさわで、各自が自己紹介して、隊としての行動を開始した。車で富士風穴への林道の入口に移動。鳴沢を出発するときPCC本部に電話するのを忘れたので、林道入口で電話したが、携帯は通じなかった。
 10時30分、大きく陥没した富士風穴の洞口に到着。ツナギに着替え、アイゼンをつけて11時に第一洞に入洞開始。先頭は小堀、殿(しんがり)は八木、佐藤は撮影班。洞口には木の梯子を下る部分があるので、前の人の手を踏まないように注意する。次々と梯子を下り、岩のゴロゴロしている斜面を下った。振り返ると、上から差し込む光の中を、一人また一人と降りてくる。
 一面の氷の床となるあたりで参加者から歓声が聞こえてきた。残念ながら、例年と比べてつららの数が少なく、大きさも小さい。多分、この冬は雨が少なかったからだろう。ゆるい傾斜の氷の床をそろりそろりと下ってゆく。この氷の床はいつ見ても見事だ。半透明でどのくらいの厚さがあるかわからない氷に、手持ちのライトをあてて覗き込んでいる参加者もいる。全員アイゼンをつけているので一人の転倒者もなく、主洞の終点に到着。
 左下に開口している最奥部への狭洞ルートに挑む。第一の狭洞は、氷の上に2センチほどの水がたまっていたが、天井までの高さが50〜60センチあるので、腕を突っ張ることにより、ほとんど濡れずに全員が突破。第二の狭洞は氷の上に5センチほどの水がたまっていた。しかし天井が低いので、ここは水の上を這いずって突破。防水のツナギを着ていない参加者からは「冷たい」の悲鳴が上がる。第三の狭洞は天井と氷面の隙間が10センチほどだ。氷を割ってもその下は水なので、冷たい水に首までつかることになる。今回は体験ケイビングなので、ここで引き返すことにした。
 帰りは、氷の床面の上で各自思い思いにポーズを取って写真撮影に励んでいた。後ろからくる人のキャップランプの光点が、真っ暗な中をゆらゆら揺れながら近づいてくるので、誰かが「何かに追い詰められているようだ」と思わずつぶやいていた。12時に全員出洞。
 続いて、大きな陥没口の反対側(上流側)にある第二洞を目指す。第一洞と第二洞はもともと一つの洞窟で、中間が陥没したため二つの洞窟に分かれたものだ。第二洞の入り口まで降りる岩場は、所々氷がついていて滑りやすいのでアイゼンをつけたまま入洞することにした。第二洞の入り口はクランク状になった狭洞で、奥から風が吹き出している。ここはかなり狭く、リタイアする人も現れるかと思っていたが、参加者から「これは面白い」という声が聞こえてきたので、安心して奥へ進むことにした。
 狭洞を抜けた先は、第一洞に劣らぬ大きな洞窟が真っ直ぐ伸びている。しかし第一洞に比べて壁や天井の剥離が進み、全体に赤茶けた溶岩がゴロゴロしている。ここも、床の溶岩が所々氷で覆われているので、滑らないよう注意して進む。3回ほどのアップダウンを繰り返すと、主洞の最奥部に達した。本来このタイプの溶岩洞にはアップダウンはないはずだが、天井が分厚く崩落して床に積もったため、アップダウンしているように見えるだけだ。
 2番目の坂を上り詰めたところは天井までの距離が短いので、ヘルメットがつららに当り、カリンカリンという乾いた音とともに、つららがバラバラと落ちてくる。その狭い隙間を抜けるとまた広いホールに出る。ここで「このような場所は帰りのルートを示す目印を置いておくと迷わない」と説明しながら、目印を置く。
 3番目の坂を上り詰めたところでは、天井が2メートルほどの厚さで、もうじき崩落しそうなところがあった。実際に崩落するのは何十年or何百年先になるかわからないが「ここで下敷きになったら運が悪いとあきらめてください」と冗談を言いながら、主洞の終点へ。
 主洞の終点から先にも風の吹き出す狭洞が続いていたが、ギザギザの溶岩がむき出しで、ツナギに引っかかって前進が困難なので、引き返すことにした。ここで全員で記念撮影。帰りは八木が先頭、小堀が殿で進む。出口の狭洞では待ち行列ができていた。待っている間、氷筍に抱きついて記念撮影している参加者の姿も見られた。氷筍の規模は内間木洞に比べたらダンチの差だが、それでも抱きつけるだけの大きさはある。
 14時30分、全員無事出洞。洞口の上で昼食。昼食をとりながら、各自の得意分野について話の花が咲く。一般からの参加者の方々はケイビングは今回が初めてであったが、ダイビングで活躍している人、児童を集めてアドベンチャー教室を開催している人、グライダーのテクニッシャン、山小屋に就職が決まり今からその山小屋に向けて旅立つという人など、いずれ劣らぬ猛者ぞろいであった。これだけ揃えば、空も、海も、山も、地底もどこでも大丈夫だねと大笑いになった。
 15時30分、富士風穴を後にした。16時、林道入口から自動車に分乗して鳴沢に向けて出発。鳴沢についてからようやくPCC本部に「無事終了」の電話が通じた。16時30分、『道の駅なるさわ』で解散式。朝よりもクリアーな富士山がわれわれを見送ってくれた。

(小堀 記) 

 

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